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日野コンテッサ - プロジェクト - 参考情報(TIPs):テクニカル - 参考情報(TIPs):テクニカル:リアスプリングついて
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本Tipsに記述してある内容は、あくまでアマチュアの経験であります。自分の手を汚して自ら自身のコンテッサをメンテナンスするアマチュアだけがご参考下さい。
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これについてご意見のある方はこちらまで (実名表記にて)
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参考情報(TIPs): テクニカル関係

コンテッサのスプリング:固有振動数を考える


 クルマの乗り心地を計測値にしたものとして古くから「固有振動数」というものが存在する。文献によれば、バネ上の値として1.0〜1.5程度は通常の乗用車として設定となっているようである。それ以上だと硬い乗り心地が悪い、あるいはスポーツカー的な設定と,競技車両は2.0 だとか、そして,1.0以下だど、柔らか過ぎ、船酔い状態となるというのことである。因みに、当時のシトロエンは独自のシャシーで0.9程度だったようで、現代のシトロエンのあるクラスもその0.9を保っているようである。

 近年の自動車雑誌などはこの「固有振動数」は、試乗リポートではほとんど語られることもなく、また測定の対象にもなってないようである。「固有振動数」そのものでの表現が不要なほどにクルマが進歩したということなのかもしれない。あるいはメジャメントが別なものに、例えば、オーディオやGPSなどの安易なエンターテイメントに変化したのかもしれない。

 時代を遡って、日本のクルマ開発の途上にあった1960年代当時のメディアは、試乗リポートの一つのツールに「固有振動数」をちゃんと詳細に測定していた。日野コンテッサの時代の代表的なクルマたちのバネ上の固有振動数の測定値を以下の表にまとめてみた。

バネ上固有振動数(cps:サイクル毎秒で、略してサイクル、 ヘルツ (Hz) と同じ)
(「後」の強い順に並べてある)

車種 (形式) 前 (cps) 後 (cps) テスト日時
ベレット1600GT (PR90) 2 2 1964.6.27
フェアレディ2000 (SR311) 1.9 1,95 1967.6.14
コンテッサ1300クーペ (PD300) 1.5 1.825 1965.6.5
コンテッサ1300デラックス (PD100D) 1.65 1.8 1964.11.21
コンテッサ900 デラックス (PC10) 1.5 1.6 1961.4.17
スカイライン2000GT (54B) 1.4 1.6 1965.3.6
フォルクスワーゲン 1302S 1.5 1.5 1971.2.4
ポルシェ911T-D 1.5 1.5 1972.2.20
ブルーバード1300 デラックス (DP410MTK) 1.25 1.475 1965.6.19
コロナ1500 デラックス (RT40 DX) 1.3 1.45 1964.9.22
スバル1000 デラックス (A522) 1.4 1.4 1966.8.11
メルセデス・ベンツ350SLオートマティック 1.1 1.35 1971.8.28
クラウンS (MS41-S) 1.3 1.3 1965.10.28
ルーチェ デラックス (USA Dx) 1.3 1.3 1966.8.30
グロリア スーパーデラックス (PA30QM) 1.25 1.3 1967.6.23
フォード・タウナスGT 2ドア・クーペ 1.26 1.28 1971.7.29
アウトウニオン アウディ100LS 1.1 1.25 1970.8.1
スカイライン1500 デラックス 1.2 1.2 1963.11.13

(註) 上記の数値は、全席シート下での、全輪 (前) と後輪 (後) の振動を計測したもの。

 この値は単純にスプリングの硬さに言い換えることができると考える。すなわち、大きければ硬い、小さければ柔なスプリングとみなせる。我がコンテッサ1300はどうだろうか?見事に硬派に分類できる。それもかなりであり、GTカー並みであったのだ。この辺が、やはり特にリヤは硬すぎる、アンダーとオーバーが同時に発生する奇異なクルマと評されたことの証しと分析する。コンテッサ900はかなり一般的に近い値である。しかし、発売当初のルノー4CVからの乗換のオーナーはドイツ車的なフィーリングになったと評していたが、これのこの表をみるとなるほどと、ワーゲンに近い値であることでうなずける。

 この表でさらに面白いことが二点みえる。一つは、ワーゲンとポルシェは共に同じ値、前後ともに1.5だ。これはある意味でRR車の初期設定、それもドイツ的な教則本なのかもしれない。もう一つは、スカイライン、すなわち当時のプリンス車である。スカイライン2000GT (54B)は、かなり硬派とみていたがそれでも前後平均で1.5であり 、ノーマルの1500は、1.2とまことに柔である。これは個人的な推測であるが、クルマを単に技術のかたまりだけではなく、「人と対話する、あるは対話できるシャシー」を持つことを問うていた桜井 真一郎さんの「哲学」なのかと考えるものである。

 さて、これでコンテッサ1300の足はどうすれば良いか?それは明確である。少なくとも、単なる数字だけのロール率に惑わされることなく、「対話できるクルマ」あるいは「心地よい乗り味」のコンテッサ1300を目指すことはまっとうであると自信を得るものである。硬すぎるリヤを柔にするのは一つの方法である。

 日野コンテッサ1300のシャシーは、前身のコンテッサ900のシャシーを発展させてものである。コンテッサ900のシャシーは、ベースとなったルノー4CVの弱点を改善するために特に後輪は独自の発展を図った。そのシャシー開発の現場の中心だったのが当時の日野の武田 秀夫さんと理解している。氏は、後にホンダに移籍し、F1を含むホンダ1300以降の一連のシャシー開発に従事したようだ。一つ、面白い記事がCARグラフィックス 1970年4月号のホンダ1300の開発者インタビューの中にある。それはCG側 (小林氏) の「ホンダ1300はなぜあのように柔らかいスプリングになったのか?」と、それまでのS800などの非常に硬い足からなぜ豹変したのかと、言いたげに開発担当の武田氏になげかけている。それは当時、クルマとしてのベストな足を目指していた氏の意志とかがあったのかと分析する。おそらく氏が日野コンテッサ1300を市販まで含めて関与していたら,ひと味違った足になっていたのではと考えたくなるものである。最後に、伝えお聞きしたことであるが、氏は日野時代にシトロエン2CVで通勤されていたとのことである 。

【参考情報:2013.1.11】

 一月程前の年の暮れ、CAD関係ビジネスのある会合の懇親会の会場で、この固有振動数が話題になった。CAD関連のコンサルをされておるC6乗りの識者は、ご自身の計測 (iPhoneのDiffration社のVibrationアプリ応用) で700系の固有振動数は,「1.4」程度とのことである。この会話の輪の中におられた700系の設計&製造をされている日本車輌製造の技術者はフムフムと。「1.4」とはなるほど、なるほどである。単なる固有振動数ごときではあるが、これは大きな収穫であった。

【参考情報:2013.1.20】

 上記の700系の話しをアップしたら、当のC6乗り (筒井 真作さん、ブログはCADIC社長の絵日記) からご自身が計測した各種の乗り物 (?) の固有振動の表が送られて来た。ご好意に感謝したい。ご自身のC6は、標準で0.8程度、硬くすると1.4程度、なるほどである。ボクスター、これは2.1、さすが、でもこのあたりが市販公道車のリミットか?しかし、MPVが2.0近い、マツダのセッティングに個人的に理解に苦しむことがあり、例えば、1&2代目のロードスターは適切な足、あるいは目指す足と考えていたが、3代目はとてもハードになってしまって、これは自分の考える範疇の足ではないと考えていたからだ。マツダの一部のパッセンジャー・カーにもそのように感じるものが多々ある。ここではそれはどうでもよいことであるが、このデータは誠にありがたいものである。

参考文献

  • モーターファアン ロードテスト ダイジェスト (昭和42年9月1日) 、三栄書房
  • モーターファアン (1961年6月号) 、ROAD TEST、三栄書房
  • モーターファアン ロードテスト ダイジェスト '71、三栄書房
  • モーターファアン ロードテスト ダイジェスト '72、三栄書房
本ページへのコメント&意見はこちら迄 (実名表記にて)

(SE, Original 2012.11.4)
(Added 2013.1.11)
(Corrected 2013.1.17)
(Added 2013.1.20)